腎臓は血液中の老廃物や塩分を「ろ過」し、体内を清浄に保つ「ろ過器」のような臓器です。腎臓の機能は「老廃物をろ過する力」で評価しますが、直接測定することは簡単でないため、さまざまな検査で評価・判断します。
初診の検査項目
尿検査・血液検査・胸部レントゲン・心電図が基本検査項目となります。
尿検査について
慢性腎臓病CKD患者さんで蛋白尿(尿タンパク/クレアチニン比推定1日尿蛋白量P/C=0.5g/gCr前後)を認めている場合でかつ、eGFR(1分間当りの尿を作る能力)45ml/min/1.73㎡前後の低下(CKD stage3b期前後)にある場合は、定期外来検査において24時間蓄尿検査「ユリンメート®P」による蓄尿評価を行ないます。この検査により、腎障害の程度や塩分や蛋白摂取量がわかります。 蓄尿結果から外来看護師による生活指導・管理栄養士による食事栄養指導を随時実施します。
イヌリンを用いた実測糸球体ろ過量イヌリンクリアランス(Glomerular Filtration Rate:GFR)測定
イヌリンは腎機能の指標である糸球体ろ過量(GFR)を測定する上で理想的であり、イヌリンクリアランス(Cin)はGFR測定の代表とされています。eGFRはあくまで簡易評価と考えるべきであり、より正確な腎機能評価を要する場合は実測GFR測定(イヌリンクリアランス検査)を推奨します。
現在、日本の全ての医療機関でeGFR推算式は使用されるようになりましたが、「日本腎臓学会プロジェクト日本人のGFR推算式」に参加した71施設の真のGFR「イヌリンクリアランス」測定結果をもとに作成されました。大分県からは唯一、当施設がプロジェクトに参加し、新しいeGFR推算式が完成される歴史に関わっていました。
【イヌリンクリアランス検査の実際】
① 腎疾患患者における腎機能の正確な評価
② 腎移植ドナーが腎臓を提供する前
③ 腎排泄性薬剤の投与量設定
④ 筋肉量の減少している患者又は少ない患者
(老人、長期臥床、筋萎縮疾患等)
⑤ 薬剤の腎機能に対する評価
⑥ 血清Cr値の変動が大きな患者
eGFRの意味:estimated Glomerular Filtration Rate のアルファベットの頭文字をつないだものです。estimated(推定)Glomerular(糸球体)Filtration(ろ過)Rate(量)のこと。当院では、腎臓内科入院において常時「イヌリンクリアランス( Cin) 」測定可能な体制としています。イヌリンクリアランスの詳細については、腎臓内科外来にてご確認下さい。
腎生検について
検査経過で腎生検の必要がある場合、腎臓超音波検査をします。腎生検とは、患者さんの背中から生検針を刺して腎臓の組織を採取し、顕微鏡で腎臓の状態を調べる検査のことです。適切な治療法を決定するための最も重要な検査になります。
腎臓は左右にありますが、どちらか片方の腎臓から採取します。穿刺前に局所麻酔を行い、超音波で腎臓の位置を確認しながら採取します。光学顕微鏡に加えて、組織を蛍光染色で染めて免疫的診断も行ない、さらに電子顕微鏡での最終診断確認をします。当院の患者さんは、大分大学医学部附属病院腎臓内科にて腎生検を行なっています。