腎臓病について 腎臓内科

腎臓の働きと腎臓病について

腎臓の働き

腎臓は腰のやや上に左右1個ずつある、そら豆のようなかたちをしたこぶし大の大きさで(重さは1個150グラムほど)の重要な臓器になります。
腎臓が老廃物や水分などを排泄し、尿をつくるための臓器であることはよく知られていますが、これ以外にも生命と健康を維持するために、重要な働きをしています。

  • 老廃物の排泄
  • 水分の調節
  • 電解質バランスの調節
  • 血液pHの調節
  • 造血刺激ホルモンの分泌
  • ビタミンDの活性化
  • 血圧の調節
腎臓の働き
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腎臓の病気

腎臓病は、腎臓の働きが悪くなる病気で、腎臓は体の中の毒素や老廃物の除去、水分の調節といった、生命を維持し、身体の環境を一定に保つ大切な役割を担っており、腎臓に問題が起こると身体中にさまざまな影響がでます。
一度失われた腎臓の機能は、多くの場合は回復することがなく、慢性の腎不全となります(急性の腎臓機能障害の場合など、例外はあります)。さらに腎臓の機能が低下し腎不全が進行すると、体の中に老廃物がたまり、尿毒症の症状が現れます。
腎臓病は、自覚症状がないのが特徴です。徐々に進行した腎不全では腎臓の機能が30%程度になるまで、体に異変や不調が見られることはほとんどありません。そのため、検査以外で発見されることはなく、自覚症状のないまま放置されがちですので、定期的な検診が必要となってきます。
腎臓病にはいくつか種類があります。種類によって治療方法は変わってきます。

「腎臓病早期発見検査 IKEAJ-KEEPのご案内」はこちら 腎臓病の種類

慢性糸球体腎炎(CGN)

慢性糸球体腎炎の診断基準
【1】急性糸球体腎炎の発症から異常尿所見※または高血圧が1年以上持続。
【2】発症に明らかな急性糸球体腎炎症状を欠くが、異常尿所見※が持続して存在。
【3】慢性糸球体腎炎以外での異常尿所見※または高血圧を呈する二次性腎疾患を除く。
※異常尿所見とは、蛋白尿、円柱尿、血尿のうち、全部または一部を認めるもの。
二次性腎疾患:膠原病(SLE、結節性多発性動脈炎)・糖尿病性腎症・痛風腎・本態性高血圧・腎血管性高血圧・腎盂腎炎・その他(原発性アルドステロン症・アミロイドーシス・嚢胞腎・妊娠腎etc) <主な原因疾患> IgA腎症

IgA腎症

  • 原発性糸球体腎炎のうち、日常診療で遭遇することの最も多い疾患。
  • 初期には血尿、蛋白尿などの尿異常を示す。
  • 感冒などをきっかけに肉眼的血尿で発見されます。
  • ほとんど自覚症状がない無症候疾患です。
  • 学校検尿や職場健診で偶然発見されることもあります。
  • 予後良好な疾患と考えられていたが、20〜30年の経過で約40%の患者さんが、末期腎臓病(慢性腎不全)に陥ることが判明しています。
  • 早期発見と腎臓専門医による早期治療により末期腎不全への進行を防ぐことが可能。
  • IgA腎症の確定診断のためには、腎生検が必要です。当院では、大分大学医学部附属病院腎臓内科との病診連携で腎生検診断を行ないます。日本腎臓学会公式ホームページより、IgA腎症・ネフローゼ症候群などについての診療ガイドラインが一般公開されています。
日本腎臓学会 診療ガイドライン(外部リンク)

無症候性血尿

  • 血尿は尿中に赤血球がみられること。
  • 赤色で血液様(肉眼的血尿)または変色が認められない(顕微鏡的血尿)がある。
  • 無症候性血尿は、身体症状かつ他の尿異常が認められない血尿。
  • フローサイトメトリー法では、赤血球数20個/μL以上を異常(血尿)とします。
  • 無症候性血尿は、尿細胞診など腎臓外科的疾患有無の評価も必要です。
  • 無症候性血尿から数年後に蛋白尿が出現し、慢性糸球体腎炎が確認される場合があり、定期的な尿検査が必要です。

急性腎炎症候群(PSAGN:溶連菌感染後急性糸球体腎炎)

  • 血尿、蛋白尿、高血圧、浮腫などを急性に生じる腎臓病の総称。
  • 多くが溶連菌感染後急性糸球体腎炎によるもの。
  • 小児に多い病気ですが、成人発症もあります。
  • 咽頭炎や皮膚感染の2週後頃にコーラ色(褐色調)血尿、浮腫、高血圧の出現が特徴。
  • 鑑別疾患としては、IgA腎症です。感冒(かぜ)などをきっかけに急性に発症の場合、同様な症状がみられます。

急速進行性腎炎症候群(RPGN:急速進行性糸球体腎炎)

  • World Health Organization(世界保健機構)により、急性あるいは潜在性に発症する肉眼的血尿、蛋白尿、貧血、急速に進行する腎不全症候群と定義されています。
  • 日本腎臓学会から提唱された診断の必須2項目は、
    【1】数週から数カ月の経過で急速に腎不全が進行する。
    【2】血尿(多くは顕微鏡的血尿、肉眼的血尿も見られる)、蛋白尿、赤血球円柱、顆粒円柱などの腎炎性尿所見を認めます。
    この項目を満たす症例を臨床的にRPGNと定義しています。
    <主な原因疾患> 特発性壊死性半月体形成性腎炎、顕微鏡的多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、IgA腎症の一部など。

ネフローゼ症候群

大量の蛋白尿によって低蛋白・低アルブミン血症をきたし、浮腫を合併するような病態がネフローゼ症候群です。
ネフローゼ症候群と診断された場合、適切な治療が必要となります。

※「ネフローゼ症候群」は、腎機能によるステージ分類で尿蛋白ステージがA3(レッドゾーン)の可能性が高く、すぐに腎臓専門医の受診を勧める状態となります。

「腎機能によるステージ分類表」はこちら

ネフローゼ症候群の診断基準

(平成22年度厚生労働省難治性疾患対策進行性腎障害に関する調査研究班)

  • 蛋白尿:3.5 g/日以上(尿蛋白/尿クレアチニン比が 3.5 g/gCr)が持続する。
  • 低アルブミン血症:血清アルブミン値 3.0 g/dL 以下。
    (参考値:血清総蛋白量 6.0 g/dL 以下)
  • むくみ(浮腫)
  • 脂質異常症(高LDLコレステロール血症)

注)

  • 上記の尿蛋白量、低アルブミン血症(低蛋白血症)の両所見を認めることが本症候群の診断の必須条件。
  • むくみ(浮腫)は本症候群の必須条件ではないが、重要な所見。
  • 脂質異常症は本症候群の必須条件ではない。
  • 卵円形脂肪体は診断の参考となる。

ネフローゼ症候群の治療効果判定基準

(平成22年度厚生労働省難治性疾患対策進行性腎障害に関する調査研究班)

治療効果の判定は治療開始後 1 カ月、6 カ月の尿蛋白量定量で行う。

  • 完全寛解:尿蛋白<0.3 g/日
  • 不完全寛解Ⅰ型:0.3 g/日≦尿蛋白<1.0 g/日
  • 不完全寛解Ⅱ型:1.0 g/日≦尿蛋白<3.5 g/日
  • 無効:尿蛋白≧3.5 g/日

注)

  • 蓄尿ができない場合には、随時尿の尿蛋白/尿クレアチニン比(g/gCr)を使用。
  • 6カ月の時点で完全寛解、不完全寛解Ⅰ型の判定には、原則として臨床症状および血清蛋白の改善を含める。
  • 再発は完全寛解から、尿蛋白1g/日(1g/gCr)以上、または(2+)以上の尿蛋白が 2~3回持続する場合とする。
  • KDIGOによる完全寛解の基準は尿蛋白 0.3g/日(g/gCr)未満。

ネフローゼ症候群の病因

  • 原発性糸球体疾患が一番多く、続いて糖尿病性腎症、IgA腎症、ループス腎炎。
  • 原発性糸球体疾患の病型分類では、微小糸球体変化(微小変化型)が最も多い。
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腎不全・慢性腎不全とは?

腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。

急性腎不全(AKI:Acute Kidney Injury)

急性腎不全は数日間で腎臓の働きがなくなってしまう病気です。その原因は、外傷性や手術に伴う出血、血圧の急激な低下、脱水症、薬の副作用(抗菌剤、消炎鎮痛剤、造影剤など)があります。尿が出なくなる場合(乏尿性腎不全)と尿量は保たれる場合(非乏尿性腎不全)があります。
慢性腎不全と異なる点は、適切な治療を行えば腎機能が回復する可能性があります。

  • 腎機能低下が数時間~数週間と経過が急速な病態です。
  • 脱水、出血、クラッシュ・シンドローム、薬の副作用(抗菌剤、消炎鎮痛剤、造影剤)、急速進行性糸球体腎炎などの慢性腎臓病とは異なった原因で発症します。

急性腎不全(AKI)の原因・予防とその治療

【急性腎不全(AKI)の原因】

  • 加齢による腎臓機能(GFR)の低下が原因で、高齢者に発症しやすい。
  • 高齢者への腎毒性薬剤投与による急性腎不全(AKI)の発症。
  • 加齢変化に加え、脱水、造影剤、抗腫瘍薬、抗生剤投与による急性腎不全(AKI)リスクの高まり。

【急性腎不全(AKI)の予防】

  • 予防策としては、腎臓機能(GFR)に準じた薬剤投与量と十分な補液を行なう。

【急性腎不全(AKI)の治療】

  • 治療は、原疾患に対する治療と腎不全の管理です。
  • 腎後性腎不全に対して尿路閉塞の解除(尿管ステント、腎ろう造設)。
  • 腎前性腎不全に対しては、補液。
  • 腎性腎不全として急速進行性糸球体腎炎には、免疫抑制療法などの原疾患に対する治療が可能な場合は、その治療を行います。
  • 溢水症状、電解質異常など、腎不全に由来する症状、検査値異常を呈する場合は、食事、薬物療法による腎不全の管理を行います。
  • 保存的治療で管理困難な場合は持続または間欠的血液浄化法の適応となります。

慢性腎不全

慢性腎不全は通常、年単位で次第に腎不全になる病気です。
糖尿病や高血圧が原因であったり、なんらかの慢性の腎臓病が原因で腎臓の機能が徐々に低下する慢性腎不全の場合、「腎不全」の進行に伴って腎臓の機能は徐々に失われます。
腎機能が30%前後まで低下しないと、はっきりした自覚症状が出ないため、気がついた時には病期が進行してしまっている早期発見が難しい病気です。
しかも慢性腎不全では、失われた腎機能が回復することはほとんどありません。

  • 腎機能40〜30%前後の状態を「慢性腎不全保存期」:CKD3b→4期
  • 腎機能15%未満の状態を「慢性腎不全末期」:CKD5期
  • 腎機能10%未満の状態を「慢性腎不全(腎代替療法期/透析導入期)」:CKD5→5D期
  • 老廃物が排泄できないため、毒素が身体にたまり「尿毒症」と呼ばれる症状が現れます。

【参考】日本腎臓学会では、一般の方に正しく腎臓病について正しく理解して頂くこと、腎臓病の患者さんが、血圧や検査結果を記録しながら病状を正確に把握し、主治医とともに腎臓病の進行を少しでも抑制していくこと、慢性腎不全の治療法選択を啓発する目的での参考サイトが作成されています。

日本腎臓学会ホームページ 一般の方へ「腎臓病とは」(外部リンク) ▲ページトップへ

慢性腎不全の症状

腎不全による症状は、腎臓の働きの項目にある「老廃物の排泄」、「水分の調節」、「電解質バランスの調節」、「血液pHの調節」、「造血刺激ホルモンの分泌」、「ビタミンDの活性化」、「血圧の調節」等の各働きが、腎機能障害が進行することにより腎不全の症状として出現してきます。

<腎機能低下による腎不全の症状>

腎臓の働き   腎不全の症状
老廃物の排泄 尿毒症(全身倦怠感・食欲低下・悪心・嘔吐・睡眠障害etc)
水分の調節 むくみ(浮腫)、肺水腫・心不全(肺・心臓に水がたまる)
電解質の調節 高カリウム血症(不整脈)
血液pHの調節 代謝性アシドーシス(血液が酸性になる)
造血ホルモン分泌 貧血(腎性貧血)
ビタミンDの活性化 低カルシウム血症(骨の量及び質の低下)
血圧の調節 コントロール困難な高血圧

腎臓の働きで「老廃物の排泄」、「水分の調節」、「電解質バランスの調節」、「血液pHの調節」についての機能障害は、透析療法を行なうことで代償可能ですが、「造血刺激ホルモンの分泌」、「ビタミンDの活性化」、「血圧の調節」についての機能障害は、透析療法での代償は困難であり、ホルモン補充療法や、降圧剤による薬物療法が主体となります。

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慢性腎不全の原因

慢性腎臓病の原因として、肥満、高血圧、脂質代謝異常、耐糖能障害などを伴うメタボリックシンドローム(以下メタボ)などの生活習慣病からの発症が問題となっています。糖尿病予備軍となるメタボは、今後の増加が予想されており、慢性腎臓病(CKD)の観点からもメタボ対策は重要となっています。

<新規透析導入疾患の原因疾患>

[1位] 糖尿病性腎症
[2位] 慢性糸球体腎炎
[3位] 腎硬化症
[その他] 他に嚢胞腎・急速進行性腎炎・ループス腎炎などが原因疾患となります。 

・糖尿病性腎症は、1998年から新規透析導入疾患の原因疾患の第1位です。
・2010年においても導入原疾患の第1位は、糖尿病性腎症で全体の43.5%でした。
[参考(社)日本透析医学会統計調査委員会「わが国の慢性透析療法の現況2010年12月31日現在」より]

糖尿病性腎症

二次性腎疾患で最も多く、透析導入原疾患としても最も多いのは糖尿病性腎症です。少なくとも5年以上の糖尿病罹患期間があり、0.5 g/gCr(g/日)以上の蛋白尿が持続し、糖尿病性網膜症が存在する場合は、糖尿病性腎症が疑われます。

2型糖尿病性腎症の臨床経過[日本腎臓学会編 CKD診療ガイドより]

2型糖尿病性腎症の臨床経過

加齢に伴う腎機能低下

高齢者では一次性、二次性腎疾患に加えて、加齢に伴う腎機能低下が加わり、CKD 3期以降を占める患者が多発します。加齢に伴い腎機能(GFR)が低下し、GFR50mL/min/1.73㎡未満では、GFR60以上70mL/min/1.73㎡未満に比べて2倍以上のスピードで腎機能が低下し、末期腎臓病(慢性腎不全)に陥る危険性が高まります。
70歳以上では特にGFR40未満から腎機能低下のリスクが高まります。

加齢に伴う腎機能(GFR)低下のシミュレーション[日本腎臓学会編 CKD診療ガイドより]

加齢に伴う腎機能(GFR)低下のシミュレーション

気がついた時には病期が進行してしまっているのが慢性腎臓病の特徴です。
高齢者=慢性腎臓病(「隠れ腎臓病」があるかも!)として捉えます。
したがって、早期発見のためには、検査が必要です。
特に、糖尿病や高血圧症で治療中の方や、あるいは自分自身が病気で無くても糖尿病や高血圧症、腎臓病の家族歴のある方は、慢性腎臓病が隠れているかもしれません。
早期に治療を開始すれば、腎臓の機能の低下を防いだり、進行を遅らせたりできるようになりました。
当院では、腎臓病と診断されていない方(持続性蛋白尿を指摘されていない方)を対象とした「腎臓病早期発見のための無料検診(IKEAJ-KEEP)」を行なっています。

「腎臓病早期発見検査 IKEAJ-KEEPのご案内」はこちら

高血圧症と腎不全について

高血圧コントロールの不良状態が長期間続くと全身の血管が動脈硬化をおこし、心血管病(心筋梗塞や脳梗塞などCVD)の原因や、腎臓の細小動脈の束で動脈硬化がおこる高血圧性腎硬化症などの慢性腎臓病(CKD)の原因になります。
高血圧症は、初期の段階では、自覚症状が全く無いため職場検診などで発見されることもあります。コントロール不良の高血圧症は、慢性腎臓病(CKD)を悪化させ、末期慢性腎臓病である「慢性腎不全」の原因になります。
以上のように高血圧症は、腎不全との関係があるだけでなく、全身の血管病(心筋梗塞や脳梗塞など)と深い関係があります。これらの高血圧関連合併症を予防するためWHO(世界保健機関)やISH(国際高血圧学会)、日本高血圧学会(JSH2009)によるガイドラインを指標に管理(食事療法・薬物療法)を行ないます。

当院では、高血圧の方などを対象とした「腎臓病早期発見のための無料検診(IKEAJ-KEEP)」を行なっています。

「腎臓病早期発見検査 IKEAJ-KEEPのご案内」はこちら ▲ページトップへ

慢性腎臓病(CKD)の検査

自覚症状の乏しい慢性腎臓病(CKD)の早期発見に役立つのが、尿中のたんぱく質の濃度を調べる尿検査と、血液中のクレアチニンを調べる血液検査です。

尿検査

◎尿中微量アルブミン検査

検尿試験紙で尿蛋白定性が陰性でも安心できません。検出されない微量のアルブミン(蛋白質の一部)が尿中にもれている場合があります。これを「尿中微量アルブミン」と言います。
当院で実施する、腎臓病早期発見検査“IKEAJ-KEEP"では、「尿中微量アルブミン」を測定します。

「腎臓病早期発見検査 IKEAJ-KEEPのご案内」はこちら

◎尿蛋白/尿中クレアチニン(尿P/C)比

検診で尿蛋白±から1+の指摘を受けた場合、再検査では、「尿蛋白/尿中クレアチニン(尿P/C)比」での確認を勧めます。尿は体液バランスの状態によって簡単に濃縮・希釈されるため、試験紙での評価では、蛋白尿の程度を正確に反映しません。「尿P/C 比」は、尿中クレアチニン1g あたりの蛋白量です。

◎24時間蓄尿検査「ユリンメート®P」

患者さんの日常生活の評価(塩分・蛋白摂取量の確認)、腎臓状態の評価(蛋白尿・CCr)などを目的に検査を行ないます。

24時間蓄尿検査「ユリンメート®P」についてはこちら

血液検査

◎推算糸球体濾過量(eGFR)

血液中のクレアチニン値と年齢・性別から計算式を用いて、腎機能(推算糸球体濾過量)を調べる検査です。
クレアチニン値は腎機能を知る上でとても重要な検査値ですが、気をつけなければならない点があります。
筋肉の老廃物であるクレアチニン値は、個人の筋肉量に左右されます。腎機能が同じであっても男性よりも女性、若年者よりも高齢者の方が低値となる傾向があります。また、クレアチニンは腎機能(糸球体ろ過量)が50%以下に低下するまでは上昇しないため、軽度の腎機能障害の判定には適していません。
そのため、腎臓の機能を正確に知る必要がある場合にはクレアチニン・クリアランスという検査を行って糸球体機能を測定します。最近ではより簡単に腎機能が求められるよう、クレアチニン値と年齢、性別という三つの要素をかけあわせたeGFR(推算糸球体ろ過量)が幅広く用いられるようになりました。

「腎機能(GFR)の測定 」はこちら

◎イヌリンとイヌリンクリアランス(Cin)

イヌリンは、普段よく食べているタマネギ、ゴボウなどといった多くの植物に存在します。キクイモやチコリには 特に多く含まれています。イヌリンをパンに入れると、“きめ”が細かくなり、モチモチした食感になります。クッキーに入れるとサクサクします。このように「食品添加物」としても広く使用されています。イヌリンは、尿細管で再吸収も分泌もされないことから理想的なGFR物質であり、そのためイヌリンクリアランス(Cin)はGFRのゴールドスタンダードとされています。当院では、腎臓内科入院において「イヌリンクリアランス(Cin)」を検査可能な体制としています。

◎腎生検

腎生検の目的は、腎疾患を病理学的に診断し、予後や治療効果を推定し、治療方針を決定することにあります。
 腎生検適応となる病態は、
 ①検尿異常(蛋白尿・血尿)
 ②ネフローゼ症候群
 ③急性腎不全
 ④移植腎などがあげられます。
 一方、禁忌となる病態は、
 ①出血傾向
 ②機能的片腎
 ③萎縮腎
 ④管理困難な高血圧などがあげられますが、絶対的なものではありません。

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慢性腎臓病(CKD)の治療

急性期や早期でなく、既に慢性化してしまった腎臓病では、病気そのものを治すことは難しく、完治は期待できません。
しかし病気の進行を抑え、症状を改善できれば、健やかで快適な生活を続けることも可能です。食事療法や薬物療法によって腎臓への負担を軽減し、残された腎機能をなるべく長持ちさせることが治療の目的です。
慢性腎臓病(CKD)の治療の目的は、透析が必要な末期腎不全への進行を遅らせることと、心血管疾患になるのを防ぐことです。

慢性腎臓病(CKD)の治療の目的
  • 日常生活の質を著しく損なう末期腎不全(腎代替療法が必要)となることを防ぐこと。
  • 腎代替療法に至るまでの時間を遅らせること。
  • 心血管病CVD※発症の危険因子となる慢性腎臓病(CKD)治療を行ない、心血管病CVD※の新たな発症を予防する。既に合併している場合は、心血管病CVD※の進行を阻止する治療を行なうこと。

生活習慣の改善

肥満、メタボの解消、禁煙など、生活習慣の改善は、動脈硬化進展抑制、慢性腎臓病(CKD)の進行抑制につながります。

食事療法

食事療法の目的は、腎臓病の進行を遅らせることと、体調を良好に保つことにあります。透析導入前の保存期の方であれば、食事療法によって腎不全への進行を遅らせることができ、透析導入を遅らせることができます。また、透析導入後も、体調を保ちながら安定して透析を続けていくために、食事療法は重要です。

「各疾患の食事療法について」はこちら

薬物療法(高血圧治療)

腎臓と血圧は互いに影響し合っています。腎臓が悪くなれば体内の水分や電解質などが増えるため、身体の中を循環する血液量が増えて血圧が上がります。逆に血圧が上がると、糸球体の内圧(血圧)も上昇し、腎臓への負担が増えます。そのため、腎臓病治療に血圧のコントロールは必須です。降圧剤は血圧を下げ、腎機能の低下を防ぎます。

薬物療法(尿蛋白・尿中微量アルブミンの減少)

尿蛋白や尿中微量アルブミンの減少効果が得られます。慢性腎臓病(CKD)進行抑制効果の要点は、尿蛋白の減少にあります。その他、抗血小板薬など尿蛋白を減少させる薬剤も併用します。

脂質異常症の治療

脂質異常症は心血管病CVD※の重要な危険因子の一つでもあります。したがって、慢性腎臓病CKDにおいて末期腎不全や心血管病CVD※の発症を抑制するためには、脂質異常症の治療は不可欠です。

糖尿病・耐糖能異常の治療

糖尿病を厳格に治療することは、末期腎不全や心血管病CVD※の発症を抑制するために重要です。

貧血に対する治療

腎機能の低下が進めば、腎性貧血が発症します。貧血は慢性腎臓病(CKD)の進行の危険因子であると同時に、心血管病CVD※の危険因子でもあります。したがって、貧血の改善は、末期腎不全や心血管病CVD※の発症を抑制するために重要です。

尿毒症毒素に対する治療

蛋白質摂取制限に加えて、経口吸着薬の確実な服用は、慢性腎臓病CKDの進行を抑制する効果が期待できます。

CKDの原因に対する治療

食事療法の目的は、腎臓病の進行を遅らせることと、体調を良好に保つことにあります。透析導入前の保存期の方であれば、食事療法によって腎不全への進行を遅らせることができ、透析導入を遅らせることができます。また、透析導入後も、体調を保ちながら安定して透析を続けていくために、食事療法は重要です。

透析療法(血液浄化法)

「各疾患の食事療法について」はこちら

※末期腎不全状態では、腎代替療法(血液透析/腹膜透析/腎移植)の治療選択を行ないます。
「社団法人 日本腎臓学会」のサイトにて「腎不全の治療選択」についてわかりやすく説明されていますのでご参考下さい。

腎不全の治療選択―あなたはどの治療法をえらびますか?(外部リンク)

慢性腎臓病(CKD)診療ガイド―治療のまとめ[日本腎臓学会編 CKD診療ガイドより]
慢性腎臓病(CKD)の末期病態である末期腎不全や心血管病CVD※での死亡リスクを抑制するためには、悪化病態の連鎖を断ち切る集学的治療が必要となります。

CKD診療ガイド―治療のまとめ(外部リンク)
※心血管病(CVD:Cardio Vascular Disease)

2003年に米国心臓病学会AHA(American Heart Association )において循環器専門医の立場から慢性腎臓病(CKD)は、心血管病(CVD)発症のリスクであるとの声明が発表されました。慢性腎臓病(CKD)になると血管病および心臓病を合併しやすいことが明らかになり、動脈疾患、心臓弁膜疾患、心不全、不整脈、脳血管障害(脳出血・脳梗塞)、末梢血管障害のいずれかもしくは複合的なものを心血管病(CVD)と総称する疾患概念が提唱され、心血管病(CVD)も国際的な用語となりました。さらに、多くの慢性腎臓病(CKD)患者さんが、末期腎不全(腎代替療法が必要)に至る前に心血管病(CVD)で命を落していることも判明しました。また、透析患者さんの主な死亡原因も心血管病(CVD)です。慢性腎臓病(CKD)の合併症治療において、心血管病(CVD)管理は、最も重要な臨床的課題であり、循環器専門医(心臓血管外科/循環器科)との医療連携(病診・診診連携)が重要となっています。

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慢性腎臓病(CKD)の予防と早期発見

慢性腎臓病CKDの初期には、ほとんど自覚症状がありません。貧血、疲労感、むくみなどの症状が現れたときには、病気/病期がかなり進行している可能性があります。予防と早期発見のためには、定期的に尿検査と血液検査を受けることが大切です。
慢性腎臓病CKDの予防には「血圧の管理」と「尿検査」が重要です。家庭血圧計で、日頃から、家庭でもこまめに血圧をチェックし、定期的に尿検査をすることをお勧めします。
職場検診、健康診断などで測定した「血清クレアチニン値」、「尿蛋白試験紙」の結果を参考に、自分の腎臓の働きであるGFRが、どのくらいかあるのかを簡易計算することができます。

「腎機能(GFR)の測定」はこちら

肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣は、慢性腎臓病(CKD)の発症に大きく関与しています。
また、最近注目されているメタボリックシンドロームでも、慢性腎臓病(CKD)の発症率が高まることが分かっています。
当院では、認定特定非営利法人腎臓病早期発見推進機構(IKEAJ)が行っている、慢性腎臓病(CKD)の早期発見検査「IKEAJ-KEEP」を実施しています。

腎臓病早期発見検査「IKEAJ-KEEP」の詳細ページはこちらから↓

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